表彰台の空間は誰のものか?

いつの頃からか、賞状の表面を見えるようにおなかあたりに保持し、誇らしげに表彰台の上に立っている選手の姿を見るようになった。

何位であったとしても、自分が賞状を受け取ると、そこからは自分の世界に入り込み、誇らしげに前に賞状を見せ、台の上で観客席に向かってピースサインなどを出しながら身体で喜びを表している。自分より上位の選手に拍手をおくることはあっても、表彰するお偉いさんが粛々と賞状を手渡していく間、自分のあとに続く選手に拍手をおくることはない。

これも時代なのかと思いながらも、他者に対する思いやり、儀式と捉えた場合のその場での個としてのありかた、などを総合的に自分の中で判断すると、これでいいのか、と疑問符がついてくる。

近畿インターハイ。
やはり、表彰台の上では全国大会出場を決めた能天気にも映る選手達が、興奮隠しきれずにはしゃぐ姿が多く見られた。それはもう、これでいいのか、と苦言を呈したくなる光景でもないほど見慣れてしまったもので、表彰台の上と友人達のいる観客席との間で、喜びの時間を共有していた。

5000mの表彰式が行われた。
1位の選手が賞状を受け取る。
受け取った後、その選手は左手で賞状を小脇に抱えた。思わず次の動作が気になった。
2位の選手が表彰状を受け取ると1位のその選手は賞状をもつ左手と右手をあわせ、小さく拍手をおくった。懐かしささえ感じる光景に2位選手の動きを見ていると、なんと同じことが繰り返された。3位、4位と同じように続き、最後の6位の選手には前5人分の小さな拍手があわせておくられたのだった。
表彰台と友人達のいる観客席との間でのやりとりも拍手だけ。
本人は静かに台の上で立っているだけだった。

「時代」というだけでは説明できない何かがある。

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110H決勝。3位と4位の腰の位置はほぼ同じなのだが。
by saitoru1960 | 2010-06-22 22:03 | いろいろ

心動かされたことを忘れぬように


by saitoru1960