小田嶋、若者の非インターネットを分析

ネットは世界につながっている。一度放流されたデータは二度と削除できない。回収することも訂正することもできない。これらのインターネット基礎知識は、もう10年も前から常識化していたはずのイロハのABCだ。

 とすれば、メッセージ着信音を子守唄に育ってきたはずの現代の若者が、最も基礎的なネットリテラシーであるはずの個人情報の扱いに関して、かくも無防備であるというのは、そもそも話のスジとしておかしい。

 しかしながら意外千万なことに、ネットリテラシーを身に着けていない若者は実在する。
 どういうことなのかというと、若い世代の中には、広い意味でのインターネットとは無縁な生活をしている若者たちがかなり大量に含まれているということだ。

 その「非インターネット」なネット利用者は、ネットの広大さやネットの危険性についてほとんど何も知らないまま恒常的にネットを利用している。
 彼らは、非常に狭い範囲でしかインターネットを利用していない。

 具体的に言うと、ツイッターやフェイスブックやLINEといった、ごく限られた仲間との連絡用にネットを利用するだけで、そのほかのインターネットの機能やスキルについてはまるで無関心な若者たちが、大量に発生しはじめているわけなのだ。

彼らにとって、インターネットは、「ちょっと多機能な電話」以上のものではない。
 彼らには、それ以上の機能は要らない。
 というよりも、自分の手で直接に触れることのできる世界より外側にあるより広い世界にはそもそも興味が無いのかもしれない。

 30歳より上の人間(あるいは40歳以上かもしれない)は、前提として、パソコンからインターネットに入っている。
 だから、この世代でネットを利用する人間は、ウェブブラウザや、匿名掲示板や、ニュースサイトや、ウィキペディアといった、一般的な意味でのインターネットの利用法について最低限の知識とスキルを持っている。

 ところが、20代以下の若者たちの中には、いきなり携帯やスマホでインターネットに入り込んで、PCでのインターネットを経験せずに、そのままネット内に滞在している子供たちがいる。

 と、彼らにとってのインターネットは、「世界」ではない。
 どちらかといえば、「部屋」に近い。
 あるいは、たとえて言うなら、昔、大学のサークルの部室や、ユースホステルにおいてあった連絡ノートみたいなものなのかもしれない。

 とにかく、彼らは、あくまでも、顔を思いうかべられる範囲のリアルな仲間との連絡用のツールとしてのみインターネットを利用している。

 であるからして、LINEであれツイッターであれ、その利用者が意識するのは、アカウントを交換し合っているリアルな仲間だけということになる。

 そういう中で暮らしている限りにおいて、「世界」(外の世界)の悪意やプロトコルには無関心になる。
 だから、個人情報を交換することにもためらいは無いし、時にはスピード違反自慢や未成年飲酒に関わる情報も書き込んでしまう。

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by saitoru1960 | 2013-10-03 05:37 | いろいろ

心動かされたことを忘れぬように


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